土佐の技 温故知新【和紙】 「井上みどりさん」

明治から紡がれる、心で漉く和紙

明治後半から始まり、土佐楮(こうぞ)を仁淀川の水で漉く土佐和紙作りをしている「井上手漉き工房」は、代々障子紙や提灯用和紙などを制作してきた。

3代目であった井上稔夫さんは、国宝や重要文化財の補修紙を手がけ、平成8年に「土佐の匠」に認定。現在、4代目を務める井上みどりさんもまた、年々減少している手漉き和紙の継承に励んでいる。

手漉き和紙職人の教えとして「和紙は心で漉く」という言葉がある。その言葉の意味を自身で見いだすことを追い求めている。「植物と水だけで作られた手漉き和紙に触れてほしい。

そして和紙作りの体験を通じて、先人の知恵の素晴らしさを体感してほしい」。近年では和紙を使ったさまざまなワークショップも手がけている。

明治後半からこの地で和紙を制作。現在はこの工房で土佐和紙の魅力や手作りの楽しさを、多くの人に伝えている。

井上手漉き工房 手漉き和紙職人/井上みどりさん

井上手漉き工房の4代目となって4年目。手漉き和紙の小物や雑貨も制作しており、どれも色合いや手触りが異なる世界に一つだけの作品。

土佐の技を体験 ワカモノ副音声

体験者/つかはら夫婦(YouTube「つかはら夫婦」で検索!)

実際に手漉き和紙を体験してみた!

今回は井上手漉き工房にて、手漉き和紙の体験に挑戦。温かく迎えてくれたのは4代目の井上みどりさん。27年間の会社勤めから和紙職人へと転身した経歴を持つ。

今回は伝統的な漉き方と、紙に自由に色や模様をつける2種類を体験。紙料づくりの工程は井上さんの作業を見ながら学べる。紙漉きは簀桁(すけた)と呼ばれる用具を使って行う。

「繊細で難しい作業もあるけど、ちょっとした紙の厚みなどの違いが見られて面白いです!」。乾燥させた完成品は、和紙が重なったり透けたりしている部分もあったが「伝統的な手法とその難しさを知ってほしい」と井上さん。

楽しみながら手漉き和紙の奥深さを感じられる体験内容だった。

和紙の素材となる植物の繊維を、手のひらほどの大きさにちぎる。ふわっとした優しい触感が印象的だった。

先ほどの素材に水とのりを加えて混ぜる。ここでよく混ぜることがムラのない和紙を作るために大切だと教えてくれた。

染料で好きな色に色付けした紙料を上から流していく。色選びや流し方は自由で、思い思いの作品を作ることができる。

乾燥させた完成品がこちら。1枚の和紙の中にさまざまな手触り、色合い、透け方を感じることができる。