仁淀川の恩惠を受ける人々 暮らしの中の食〜西脇亜紀さん〜

暮らしに欠かせないものといえば「食」。
仁淀川の豊かな水の中で魚を育て、捕り、食す…
それらを生業とする人々に話を聞いた。

仁淀川の天然アユが
最もおいしく釣れる
伝統漁法に挑む

仁淀川で古くから行われてきた伝統漁法、アユの「友釣り」。これを「天然のアユを最もおいしく釣り上げることができる方法」と教えてくれたのは、「鮎屋仁淀川」の女将・西脇亜紀さん。夫である康之さんと共に、京都や北海道から注文が入る天然アユを釣りながら、一般客への販売や釣り体験も案内する。
 
「仁淀川のアユは形がとてもきれいで、おいしい。急流を力強く泳ぎ、きれいな水に磨かれている」。そう話す手には、長さ約8mという専用の釣竿を握りしめている。
 
 
釣り師の仕事はとてもハードで、女性の存在は希少。一日中、流れる川の中で立ちっぱなし。虫に肌をかまれることも、川原で転倒することもある。そのたびに、仁淀川のアユの力強さと生命力の強さを感じてきた西脇さん。女だてらにプロのアユ釣り師として生きるその姿は、次の世代を残すためだけに激流の中川を遡上する、アユの姿と重なって見えた。