じっくり乾燥させた椎茸は
しっかりと豊かな香り
四万十町十和地域、この深い緑に囲まれた地では、長年、原木椎茸を栽培。昭和50年代には生産量日本一にもなるなど、全国でもトップクラスの名産地として知られている。
しかし、肉厚でみずみずしい原木椎茸ゆえに、収穫後、生食できる期間が非常に短く鮮度維持が難しい。そのためこの地域の人たちは、干し椎茸に加工することで長期間保存をしてきた。天日で丁寧に干し、乾燥機でしっかりと水分を飛ばして乾燥させることでうま味成分が凝縮。原木椎茸は、独特の強い香りと風味を持つだし素材へと進化する。
椎茸だしのみを使って濃いうま味を直に味わうもよし、昆布や鰹節など魚介だしと合わせるもよし。五縁の会の会長の酒井さんは、「干し椎茸特有の香りやうま味を引き出すには、良質な原木栽培のものに限る」「質のいい干し椎茸は、料理の味を引き立てる良いだしがとれる。その味わいを広く知ってもらいたい」と胸を張る。
秋から次の春先までの収穫に向けて植菌された原木は、ハウスから順に山中のホダ場へ移動される。湿気を含んだ原木を運び、組み直す作業はかなりの重労働だそう。