江戸時代から受け継がれてきた 伝統を守り続ける 県内で唯一の発酵茶
人の手で茶葉を刈り、蒸して天日に干す。その1つひとつの工程すべてを手作業で作り続けてきた大豊町の名産「碁石茶」。江戸時代から400年続き、県内で唯一生産されている発酵茶だ。「製造工程はとても難しく、添加物を使わず自然相手なので苦労も多いです。発酵工程は2回、デリケートな作業なのでその時期は毎日目が離せないし、7日以上雨が降らない日を狙って天日干しにしたり…」。父から7代目を受け継いだ小笠原功治さんは、伝統の製造方法を守る上での大変さを語った。それでも作り続けるのは、父が盛り上げてくれたブランドを守り続けたいという想い、そして、飲んだ人から「身体の調子が良くなった」と言ってもらえる喜びがあるから。近年の健康ブームで、碁石茶も再び注目を集めている。飲めばクセになる独特の風味も特徴的だ。「県内ではほとんど流通されていなかったので、若い世代にはまだまだ認知度が低いですが、毎日の健康食品としても気軽に飲んでもらいたい」。飲む人の身体を気遣う想い、父から受け継いだプレッシャーを胸に、これからも伝統を守り続ける。
豊かな自然とオーガニックな栽培にこだわる 「仁淀川」の名前を冠したハーブティー
高知県内のファーマーズマーケットや雑貨店に置かれている「ハーブ仁淀川」と描かれたハーブティー。おしゃれなパッケージデザインはもちろん、オーガニックな栽培や製造方法へのこだわりで愛されている銘茶だ。ハーブ園がはじまったのは、2002年のこと。前代表の堀内靖裕さんが、全国有数の清流、仁淀川の河口近くに畑をかまえたことに始まる。その後、5年以上も試行錯誤を重ね、ハーブの自然的な栽培や乾燥方法にたどり着いた。ハーブ本来の色合いや香りを引き出すのは、仁淀川の土壌や地下水、温かな気候。現代表の小松隆志さんは、「後継者募集」の張り紙を見つけて以来、自身もハーブティーに心身を癒されてきたと語ってくれた。
100年以上の歴史を刻む鉄釜で炒る 香り高いはぶ茶。 後世に昔ながらの味わいを…
代表の土田さんが「はぶ茶」に出会ったのは約10年前。「はぶ茶を作ってみないか」と種を託され、使命感を感じたことに始まる。そのお茶づくりの肝となるのが、土田さんの祖父が大川村で100年以上前から使っていた鉄釜。乾燥させた茶葉をそのまま商品化するのが一般的だが、釜で炒る手間を加えることで、香ばしい薫りに加え味に深みが増す。「香稜苑」のはぶ茶は手間暇かけ丹念に作られる。昨今では「若者にもはぶ茶を親しんでほしい」とウェブ販売をスタート。「うちのお茶を気に入り、リピーターになってくれる人が年々増えているんです。高知で飲まれ続けてきた野草茶の文化を、県内はもちろん、県外の人にももっと広めていきたい」と笑顔で話してくれた。