高知の天然素材、世界を魅了

高知の豊かな自然で育つ天然素材は、職人たちの手でさらに磨かれ、世界へ羽ばたいていく。自然の恵みとワザの結晶が、国境を越えて暮らしの中に溶け込み、人々を魅了している。

    【 竹細工 】

    主な行き先
    ・アメリカ
    ・ヨーロッパ

    世界が惚れ込む 土佐の虎斑竹(とらふだけ)

    生育が早く、丈夫で軽い竹は、近年では稀少な天然資源として世界的に注目されている。その竹の魅力を伝え続けているのが、竹材メーカー「竹虎」の四代目・山岸さんだ。

    「竹の可能性は無限大」を合言葉に、国内外で竹文化について講演を行い、世界約50カ国の竹関係者が集う「世界竹会議(WBC)」にも参加している。「竹虎」が扱う竹の中でも、とりわけ希少なのが、須崎市安和(あわ)でのみ育つ「虎斑竹」。

    ガスバーナーで炙り、竹からにじみ出る油分で拭き上げることで、虎のようなまだら模様が浮かび上がる。見た目の特徴に加え、耐久性にも優れていることからワインクーラーや縁台など、多彩な製品となって海外でも高い評価を得ている。

    「言葉が通じなくても心は通じる。竹文化を未来につなぐ力になれば」と、山岸さんは竹の魅力を語ってくれた。

    こんなふうに使われている!

    竹が育たない地域では高級品として重宝される

    もともとはお茶を入れる竹細工の箱が、アクセサリーや小物入れに使われることも。葉が年間を通じて青々としていることから、パリのカフェテラスでは観葉植物として置かれることもある。

    須崎市安和でしか育たない希少な虎斑竹。国内を含め他の地域に移植を試みても、きれいな虎模様が出ないという。


    【 木工品 】

    主な行き先
    ・アメリカ
    ・オーストラリア
    ・ニュージーランド
    ・アジア諸国

    香りで評価される 良質な四万十ひのき

    豊かな香りと高い抗菌作用をもつ「四万十ひのき」。夏の日照時間が長い高知県は、全国でも良質な木材の産地として知られている。

    初代社長の「木を無駄なく使いたい」という思いから、循環型社会が注目される以前より木材活用に取り組んできた「土佐龍」が海外展開を始めたのは、平成7年のこと。商社の社長から「日本らしい風呂製品を作ってほしい」と依頼を受け、ひのきの入浴剤「バスティー」を開発したことがきっかけだった。

    日本固有種であるひのきは、海外のギフト・ショーでも「唯一無二の香り」と高く評価され、その声をもとに、風呂椅子やバスマットなど、多彩な製品を海外へ輸出。「国や人種を問わず、喜ぶ顔は同じ。みんなが幸せになるものづくりを続けたい」と、今日も日本の香りを世界へ届けている。

    こんなふうに使われている!

    日本独自の香りがバスタイムを豊かに!

    ひのきは、海外の方にとって日本独自の文化を感じさせる香り。木製バスマットや、石けん置きを組み合わせたバスセットが特に人気なのだとか。アジア圏ではキッチン用品も好評。

    「木の料理人」として、一本の木を余すことなく活かし、素材の特徴を最大限に引き出した製品づくりを行っている。

    ①竹虎(株)山岸竹材店(須崎市)

    100年後も竹と生きるために今できること

    県内外で手入れ不足の竹林が「竹害」となっている現状に、強い危機感を抱いているという山岸さん。一本一本が地下茎でつながり、地盤を固める竹は、しなやかさと丈夫さを兼ね備えた素材。

    昭和47年の繁藤災害(しげとうさいがい※)では、竹林が土砂崩れから地域を守った例もあるという。本来は手入れを行えば防災にも役立つ存在だが、放置された竹林では根が浅くなり、かえって被害を招いてしまう。

    山岸さんは、こうした現実と竹が持つ本来の力を知ってもらうことが、竹林を守る第一歩だと考え、これからも発信を続けていく。


    (※)香美郡土佐山田町(現・香美市土佐山田町)で発生した、集中豪雨による土砂災害

    ②株式会社 土佐龍(須崎市)

    「木の料理人」が手掛ける、適材適所で活躍する製品

     「木を無駄にしたくない」という想いから、地域の森林組合が出す枝葉を買い取り、精油を抽出する取り組みを始めた「土佐龍」。

    まな板などを製造する加工場のすぐ隣に精油専用の建物を設け、森林組合から仕入れた木材を使って香りづくりに向き合っている。森林組合からは「処分するはずだった枝葉を活用してもらえて助かる」と喜びの声も。

    池さんは「お互いにメリットのある形で地域に貢献できるのがうれしい。ものづくりのやりがいを感じています」と語ってくれた。