土佐に息づくさまざまな職人ワザ。
伝統の傍らに、 常に新しい展開があることも、 土佐らしい特徴の一つだ。
今回は、遍路宿をテーマに、 土佐の業を探訪!
遍路旅の思い出を紡ぐ夫婦
2人の出会いのきっかけとなったのはお遍路。元々東京で働いていた千里さんがお遍路をする道中で「民宿徳増」を訪れ、そこで三代目の和也さんと出会い、翌年に結婚。「食・人柄・空気感・里山の景色の全てに惹かれました」と当時を振り返る。民宿では「ノーと言わない」をモットーに、お遍路さんを宿まで送迎したり、病院に連れて行ったりと、できる限りのサポートをしており、それも「より良い遍路旅になってほしい」という自身の経験から。「お遍路文化で宿はとても重要な存在。これからもこの場所を守っていきたいです」と話す2人。地元を知り尽くす名ガイドである和也さんと、英語も話せてしっかり者の千里さん。どちらも欠かせない名コンビで今日も温かくお遍路さんをもてなしている。
民宿の創業は昭和49年。元々はサーファー向けに始めた宿だったが、今ではお遍路さんをはじめ、ワーケーションや家族旅行、一人旅といったさまざまな方が訪れる。
水平線から昇る朝日や、聞こえてくる波の音、夜空に輝く天の川など、宿を取り囲む大自然も魅力のひとつ。
ドクダミ、キシマメ、シソを配合した手作りの薬草茶。創業当初から初代の配合を受け継いで提供している。
納屋を改装して、宿泊者が自由にくつろげる憩いの場へ。最近では、ワークショップや会議などでも使われている。
「地域の味を大切にしたい」と食材にもこだわり、常連客からも愛される味を創業当時から守り続けている。