今回の食材/よもぎ
(場所)仁淀川流域など (旬)10月〜6月
全国各地の野原や河川の土手に自生している多年草。食用にするのは3月から5月の若い芽で、古くから漢方としても使われている。
春の訪れを告げる よもぎを包んだお餅 家庭から地域の味へ
仁淀川町の別枝地区で古くから伝わってきた郷土料理、いりもち。仁淀川上流域の清らかな水で育った、地元に自生するよもぎをふんだんに使っており、ここならではの「変わり餅」として、地元の家庭はもちろん、仁淀川を訪れた観光客にも親しまれている。
とりわけ、3月の芽立ちの時期に摘まれたよもぎは香りが強く、春の訪れを告げる味覚になっている。お餅のもっちりとした食感に、つぶあんの優しい甘み、そして鼻に抜ける爽やかなよもぎの香りが合わさると、仁淀川流域の昔ながらの素朴な風景が感じられるようだ。
土佐三大祭りの一つである「秋葉祭り」でも、地域を訪れた人々にたくさんのいりもちが振る舞われている。まさに仁淀川町の「看板餅」なのだ。
いりもち
▶︎用意するもの(5個分)
よもぎ・・・30g
小麦粉・・・100g
塩・・・少々
水・・・120g
つぶあん・・・150g
手順1/香りが良い芽立ちのよもぎを、指先で軽く摘んで取る。鍋で湯を沸かし、よもぎを柔らかくなるまで煮 る。煮たよもぎは、すばやく流水で冷やして、絞っておく。
手順2/冷やしたよもぎをミキサーによくかけ、小麦粉、塩、水と粘り気が出るまでよく混ぜ合わせる。
手順3/1つにつき、つぶあん約30gを生地に優しく包む。ポイントは、手に生地がくっつかないように適度に手 を湿らせ、生地が柔らかいので素早く包み込むこと。
手順4/熱したフライパンで、丸い形に整えながら焼き上げる。押し付けたりして、あんこが出ないように気を つける。
手順5/黄緑色の生地が濃い緑色にこんがり焼けたら完成。
ひとくちメモ
焼く時に使う油は、香りの良い米油がおすすめ。昔ながらの素朴な味わいを大切にしており、冷めても美味しいレシピになっている。つぶあんを黒糖にアレンジしても美味しい。遠くから訪れた方々へ、地域の味として振る舞っている。
まだまだある!
【ぜんまいの油炒め】
高知県内でもぜんまいの産地として知られる大豊町。ぜんまいは茹でて、乾燥すると長期保存がきくため、重要な食材でもあった。
【えびなの酢みそ和え】
ワラビやぜんまいなどの、山菜が芽吹く前に採れるえびな。昔から汁の実や煮物、和え物、炒め物など食卓に春を運んできた。