土佐おたからレシピ「きびなご」

今回のレシピ/きびなご

(場所)宿毛市 (旬)4~6月

体長10cmほどの小魚のため、鮮度の管理が難しく、全国の市場で見かけることは少ない。高知県宿毛市では、新鮮なきびなごがスーパーに並び、どの家庭でも親しまれている。

地域で馴染みが深く 老若男女に愛される小魚 アレンジも多様

 高知県の西の端にある宿毛湾は、「きびなご」の漁獲量が多いことで知られ、地域で日常的に食べられてきた。「今となっては漁獲量が減り、希少価値が高くなりましたが、地域では昔から老若男女がおやつのようによく食べていましたね」と、地元で飲食店を営む西田さん。その日水揚げされた鮮度の良いものが、地元のスーパーに並ぶ。きびなごフライは、「さっと揚げるだけ」というシンプルな料理。もともと骨は柔らかく、はらわたの苦味も少ないため、サクサクとした食感の姿揚げとして、まるごと美味しく味わえる。刺身やお寿司、南蛮漬けなど、自由自在なアレンジで親しまれるきびなごは、海の幸に富む宿毛湾に面した地域だからこそ味わえるごちそうだ。

きびなごフライ

きびなご・・適量
溶き卵・・・1個
塩・・・・・少々
小麦粉・・・適量
パン粉・・・適量
塩・・・・・少々

手順1/きびなごの表面のヌメリを取るため、まずは優しく水洗い。キッチンペーパーで水気をしっかり取ったら、塩・コショウで下味をつける。

手順2/小麦粉をまんべんなくまぶしたら、表面がサラサラになるように小麦粉をはたく。

手順3/さらに、溶き卵・パン粉の順にまぶし、冷蔵庫で10分ほど寝かせる。

手順4/170~180度に熱した油で揚げる。目安は3分。衣がキツネ色になるまで、こんがり揚げる。

手順5/塩・ソース・タルタルソースなど、お好みの味付けを用意。

高知県四万十市出身の漫画家、安倍夜郎さんが描く『深夜食堂』でも、きびなごのフライが描かれている。物語は、深夜0時~朝7時まで営業する小さな飯屋 が舞台。マスターと客との交流が、心温まる料理と共に描かれる。平成19年から「ビッグコミックオリジナル」(小学館)にて連載中。現在、単行本は第24巻まで発売中。

ひとくちメモ

きびなごは鮮度が大事。宿毛市ではその日に揚がったばかりの新鮮なきびなごが食べられるがよ。きびなごをフライで美味しく食べるなら、衣を薄くすることがおすすめ。サクサクとした食感で、きびなごの旨味がしっかりと味わえるがよ。きびなごはいろんな調理方法があって、酢でしめておから寿司をくるむ郷土料理もあるがやき。

まだまだある!

【きびなごのほおかぶり】
高知県内で伝わる郷土料理。きびなごを丁寧に背開きし、酢でしめる。塩や砂糖を加えただし汁を煮立て、おからを炒る。炒る際は酢を加えて調味した後、きびなごでおからを包む。

【半夏だんご】
大豊町に昔から伝わる郷土菓子。だんごは、みょうがの葉に包まれており、清涼感のある独特の香り。 農繁期を過ぎた後に労をねぎらったり、作付けが終わった時期などに食されている。