25.3kmのレールを地道に保守
路面電車の乗車中に「キィー」という騒音や、思いもよらぬ揺れに遭遇した人は少なくないだろう。その原因となるレールの保守を行うのが、矢野さんの所属する「保線係」。そしてその中で電車を折り返す重要な施設がポイント(分岐器)だ。
ポイントはトングレールの先端が密着しないといけないため、ポイント転換や電車が走る妨げとなる、レールにたまった機械油や、走行中の摩擦から発生する鉄粉などの汚れを拭き取り、摩擦防止オイルを塗り込んでいく。それは、電車の運行やポイントの切り替えを円滑に行うための重要任務なのだが、その工程は気の遠くなるような作業の繰り返し。
日々の業務は行き交う車と運行する電車のはざま。運行状況を見ながら電車が通るタイミングで立ち退き、電車が過ぎ去ったら再開。1日それを何度も繰り返しながら作業は進む。1日にできる点検箇所はというと約20ヶ所ほど。路面電車で日本最長25・3kmの軌道距離を持つ高知の線路を考えると果てしなく続く保守。