ワカモノがゆく! 土佐文化体験記vol.5

ワカモノがゆく!土佐文化体験記vol.5

高知県内各地で脈々と継承されてきた地域の文化を、ワカモノたちが体験! 今回は、佐川町の「明郷園」で、地元の高校生が紅茶づくり体験に挑戦。

土佐文化体験記_紅茶_メイン

「途絶えさせるわけにはいかない」 かつて国内外に流通していた 佐川産の紅茶の復活

 紅茶の製造が西日本各地で盛んだった昭和30年代、戦後から続く紅茶づくりが高知でも広がり、民間企業の工場もあった佐川町は紅茶の一大産地として知られるようになった。やがて輸入紅茶の関税撤廃などにより紅茶栽培は途絶えてしまうが、かつての茶畑が放棄されずに残っていることを知り、「このまま途絶えさせてはいけない」と立ち上がったのが、今回訪ねた「明郷園(めいきょうえん)」の澤村さん。当時、高知に導入された品種「はつもみじ」と「べにほまれ」をはじめ、現在は6種類ほどの茶葉で紅茶づくりを行っている。文化をつないでいきたいという思いから、体験や大学のインターンを積極的に受け入れているほか、小学校での教育や、佐川高等学校とのブレンド紅茶の製造など、紅茶の魅力発信に尽力している。

自分の手で 一から手がけた紅茶 地元の名産を誰かに教えたい

 今回紅茶づくりを体験したのは、佐川高等学校の生徒たち。体験は茶摘みから始まり、前日に摘んでしおれさせた茶葉を手揉みし、3時間の発酵、300度の大釜で15分炒る殺青(さっせい)へと続いた。意外と力が必要な場面もあり、「筋トレみたい」と汗をぬぐう姿もあった。発酵を待つ間は、15種類の紅茶を飲み比べ、自分が一番美味しいと思ったものに付箋を貼るなど楽しい時間を過ごした。  

 体験後、「自分の親にも佐川町の紅茶を教えたい」「地元のお茶が一番好みだった」「これを機にもっと地域について知りたい」などと楽しそうに話す生徒たち。その様子を見守りながら「たくさんの人に佐川で作られるお茶のことを知ってもらい、次世代につなげていけたら」と澤村さんは目を細める。  

 実は澤村さん、70歳を迎えるまでの残り2年の間に継承者を見つけたいと考えているそう。興味のある方はぜひ門を叩いてほしい。

土佐文化体験記_紅茶_サブ01
「パンをこねているみたいで面白い!」。手揉みを伝授してもらう生徒たち。
土佐文化体験記_紅茶_サブ02
代表の澤村和弘(さわむらかずひろ)さんと妻のさちさん。
土佐文化体験記_紅茶_サブ03
300度の釜で素早く茶葉を炒る。
自分たちで作った紅茶は格別のおいしさ。澤村さん曰く、良い紅茶はスイーツがよりおいしく感じるのだそう。
自分たちで作った紅茶は格別のおいしさ。澤村さん曰く、良い紅茶はスイーツがよりおいしく感じるのだそう。
紅茶「はつもみじ」

紅茶「はつもみじ」

自然豊かで昼夜の寒暖差が大きい風土を生かし、古くから茶の栽培が盛んだった佐川町。戦後に高知県で紅茶づくりが始まると、尾川地区に民間企業の工場も建ち、佐川町は紅茶の一大産地として知られるようになった。佐川町産の茶葉を使った紅茶は国内外に広く流通していた。その当時植樹された品種のひとつ「はつもみじ」は、今では希少品種として佐川町の産品となっている。

問い合わせ先/0889-20-9506 (さかわ観光協会)