ワカモノがゆく!土佐文化体験記vol.4
高知県内各地で脈々と継承されてきた地域の文化を、ワカモノたちが体験! 今回は、いの町の「和紙体験実習館」で、地元の高校生が土佐和紙草花入りハガキ作りに挑戦。
いの町の産業を支えた 土佐和紙の新たな価値に 息吹を吹き込む
1000年以上の歴史があり、いの町の産業を支えてきた土佐和紙。かつては仁淀川下流域に紙漉き(すき)職人や物流の人々が集まり、にぎわいを見せていた。しかし時代の流れで和紙の需要は減り、機械化も進む中で、伝統の継承が難しくなっている。 そんな中、土佐和紙の伝統を未来につなげていこうと作られたのが土佐和紙工芸村「和紙体験実習館」。誰でも気軽に楽しめる紙漉き体験から、過去には職人の育成まで行っていた。今回は、地元高校生が「草花入り土佐和紙ハガキ作り」に挑戦した。
一つとして同じものがない 土佐和紙 若い世代に魅力を届ける
講師の中岡さんから説明を受け、慣れた手つきで手際よく紙を漉いていくのは伊野商業高等学校の和紙研究部に所属する生徒たち。和紙研究部では、土佐和紙の認知度向上や後継者不足の課題を解決すべく、さまざまな活動をしているという。「和紙は繊維の方向によって一つ一つ表情が異なり、同じものがないのが魅力です。そんな土佐和紙のことを自分たちよりももっと若い世代に知ってもらいたい」と話すのは、3年生で部長の中岡さん。和紙研究部は、地元の子どもたちに自分たちが住む地域の特産品である土佐和紙に触れて関心を持ってもらうことを目的に、小学生を対象にした和紙工作教室も行っている。 かつては日用品として用いられ実用的な価値を担っていた土佐和紙も、今では、外国人観光客をはじめとした人々が体験を求めて訪れる、文化的価値へと役割が変わった。講師の中岡さんは「変わりゆく価値とともに、これからも多くの人に土佐和紙の存在を伝えていきたい」と、生徒たちの様子を優しく見守りながら話してくれた。




土佐和紙
高知県いの町や土佐市で、1000年以上前から作られてきた日本三大和紙のひとつ。清流として知られる仁淀川のきれいな水と、山間で育つ、楮(こうぞ)、三椏(みつまた)、雁皮(がんぴ)の生産量が多いことから、製紙技術が発展してきた。薄くて破れにくいという品質の良さから、国の伝統的工芸品に指定されている。
問い合わせ先/088-892-0127 (道の駅 土佐和紙工芸村 和紙体験実習館担当)