憧れのバトン「パティシエ×生産者」

作る人、伝える人、つなぐ人、遺す人… ここ高知で、そんな仕事や活動をしている人と その人がリスペクトする人にスポットを当て 2人の関係性、双方の思い、そしてこれからのことなど 胸に秘めたる熱い思いをひもといていく

つないでもらった縁を大切に より地元に根付いたお店へ 

母親と妻の3人で協力し、仕込みから接客までを行う。オンラインでの販売にも力を入れているそう。

 「今こうして、地元の食材を使った洋菓子を作れているのは、生産者の方々とつないでくれた村田さんのおかげです」。そう話すのは生まれ育った佐川町で洋菓子店を営む山﨑さん。今から4年前、お店をオープンするに当たって、JAに勤めていた自身の兄を通じて知り合ったのが佐川町で園芸を営む村田さんだ。

佐川の地乳を使ったプリンや、旬の食材を使ったお菓子たち。冬から春に登場する佐川のイチゴを使ったケーキも大人気だそう。

「忙しいにも関わらず、親身に相談に乗ってくれました。人と人とをつなげる力や人柄に憧れます」と村田さんの印象を語る。村田さんを通じて生産者や卸売業者と出会う中で、地元でさまざまな果物が生産されていることを知り、できる限り佐川町のものを使用したお菓子を作ることを決意。「つながりを作ってくれた村田さんに感謝し、地元に恩返しするためにも常に進歩し続けるお店でありたい」と力強く話してくれた。

長年培った広い人脈を 生かして夢を後押し

葉先がピンとなった元気な苗が並ぶハウス。強く丈夫な苗を育てるため、病気や虫害には細心の注意を払う。

 季節に応じた野菜苗や花苗をはじめ、文旦やお茶の栽培、それらを使った加工品の販売など、幅広い仕事を手掛ける村田さん。「地元に帰って来て、夢を叶える若者の行動力、熱意に感心し、できる限りの手助けをしたいと思いました」と仕事で培った広い人脈を生かし、地元の生産者と山﨑さんをつなぐことに尽力した。

「普段の山﨑さんは寡黙でニコニコして可愛らしいイメージですが、知り合いの生産者の元へ連れて行った時に見せた、熱心に話を聞く真剣な表情は今でもよく覚えています」と当時の様子を振り返る。

山﨑さんもお菓子作りに使っている茶葉。緑茶のティーバッグや紅茶に加工し、道の駅やオンラインショップで販売している。

そして「若い世代が地元で開業してくれるのはとても嬉しいこと。また生産者として、地域で採れたものや自分で育てたものが、お菓子やケーキになるのを見るのはなおさら嬉しいですよ」と笑顔を見せた。