今回の食材/ナス
(場所)中芸地域など (旬)10月〜6月
高知県東部の園芸栽培をはじめ、温暖な気候に恵まれた高知県のナス栽培は、全国トップクラスの生産量を誇る。その瑞々しい食感は、まさに高知を代表する野菜だ。
昭和初期から愛される 野菜のタタキ料理は 食卓の味方
カツオのタタキのみならず、ウツボやブリ、野菜に山菜まで、「なんでもタタキにして食べる」と言われるほど、タタキ料理が大好きな高知県民。秋口から美味しさを増すナスもまた、タタキ料理のポピュラーな食材だ。栽培が盛んな地域を中心に、「手頃に味わえる」と昭和初期から食卓に上がっていた「ナスのタタキ」は、当時、油が貴重だったことから、ナスは現在のような揚げ焼きではなく、主に茹でられていた。「土佐伝統食研究会」の彼末さんは、「ナスのタタキに『絶対にこうでないといけない』という料理法はありません。味付けも、ミョウガやタマネギなど、好きな薬味で食べてよし。市販のポン酢でも代用可能です」と話す。そんな自由さも高知らしさ。好みの薬味を散らして、我流のアレンジを楽しんで!
ナスのタタキ
▶︎用意するもの(2人前)
ナス・・・3本
大葉・・・2枚
ショウガ・・・1片
ネギ・・・2本
鯖切身・・・1/2カット
醤油・・・大さじ1
酢・・・大さじ1
手順1/フライパン用ホイルやクッキングシートを敷いたフライパンで、鯖切身を焼く。ナスはヘタを取り除き、縦半分にカット。すぐに火にかけるので、ナスを水に晒す必要はない。ネギは小口切り、大葉は細切り、ショウガはすり下ろしておく。
手順2/フライパンに油をたっぷりと注ぎ、火にかける。油が温まってきたら中火にして、水分を切ったナスを投入。ナスの両面にしっかりと焼き色が付くまで、揚げ焼きにする。ナスの皮全体に油が付くよう、しっかりと焼くとキレイな紫色に揚がる。
手順3/ナスを揚げ焼きにしながら、焼いておいた鯖の身をほぐす。ナスが揚がったら、バットに取り、余計な油分を落とす。
手順4/ナスを器に乗せ、ネギ、ほぐした鯖の身、大葉と一緒に盛り付ける。ナスは皮を下にして、扇状に並べると見栄えが良い。
手順5/醤油と酢、すりおろしたショウガと混ぜて、タレを作る。全体にかかるように、ナスにかけたら完成。すぐ食べても良し、少し置いて、ナスにタレが染み込むのを待っても良し。
ひとくちメモ
ナスは水分が多いので、薬味をたっぷり乗せて味を締めるのがおすすめ。合わせ調味料に砂糖を少し足しても、旨味が増します。薬味がないときはタレの量を多くして、少し味を濃くして味わってみて。
まだまだある!
【山椒もち】
佐川町にのみ伝わる、夏の郷土料理。もち米の玄米の粉と黒砂糖に、暑い時期でも餅が痛まないよう、防腐効果があるサンショウの実の皮を炒って粉にしたものを混ぜ、蒸してついている。
【ひめいちの辛子煮】
ひめいちは秋から冬にかけて旬を迎える小魚。うろこを取り、骨が柔らかくなるまで煮こむ。茹でて一晩さらしたユズの皮と調味料を加え、さらに煮詰める。柑橘の爽やかな香りと辛子の風味がアクセントに。