今回のレシピ/あたらしや
(場所)高知市春野町 (旬)正月をはじめとする宴席
白いお餅の上に、祝い事には赤・黄・緑、不祝儀の際には黄・緑の飾り付けをする愛らしい餅菓子。高知市春野町では、皿鉢料理に欠かせない郷土菓子として親しまれてきた。
皿鉢料理を彩る 春野町の郷土菓子
素朴な味が郷愁を誘う…
江戸時代初期、野中兼山が仁淀川に堰や用水路を築いたことで、稲作が盛んに行われるようになった高知市春野町。「あたらしや」は、そんな地域の米を生かして作られるようになった郷土菓子で、皿鉢料理には欠かせない一品として親しまれてきた。早く食べないと餅が固くなってしまうため、皿鉢料理では最後に作って盛り付けていたことで、いつしか「あたらしや」と呼ばれるように。「昔はだんご粉の原料となる上新粉やもち粉を独自で配合して、各家庭によって木型で餅に模様を付けたり、その家ごとの『あたらしや』を作っていたものです」と地元の奥様方。昔のように、個々に飾り付けを楽しんで、素朴で愛らしい「あたらしや」を作ってみよう。
あたらしや
小豆・・・・・100g
砂糖・・・・・100g
塩・・・・・・少々
だんご粉・・・270g
水(だんご用)・・・230〜240cc
食用色素(赤、黄、緑)・・・各少々
手順1/鍋にたっぷりの水を入れて小豆を茹で、沸騰したらザルにあげてゆでこぼしする。再び鍋で小豆を茹でた後、保温鍋に入れて一晩おく。翌朝、指でつまんでつぶれるほどの柔らかさになればOK。少し硬い場合は追い炊きする。
手順2/鍋の小豆を布巾でこした後、再び鍋に入れ砂糖と塩を加えて30分ほど煮る。炊き上がったあんこを親指ほどの大きさの俵形にする。
手順3/だんご粉に水を加えて耳たぶほどの固さになるまでこねたら、小分けにして15分ほど蒸し、熱いうちにボウルに入れて練りあげる。
手順4/餅をピンポン玉ほどの大きさに分けて伸ばしたら、木型や凹凸のある器などに押し付けて模様を付け、あんこを乗せて包む。
手順5/少量の餅に赤、黄、緑の食用色素で色をつけ、米粒ほどの大きさに丸め、トッピングしたら完成。不祝儀の場合は黄と緑のみ。
ひとくちメモ
昔はうるち米を加工した上新粉や、もち米を加工したもち粉を配合してだんご粉を作っていた。本格的な「あたらしや」を作りたい方は、だんご粉作りからチャレンジしよう。また、餅に模様を付ける際は、器を濡らしておくと餅が剥がれやすくなる。色々な器を使って、様々な模様の「あたらしや」を作ってみて!
まだまだある!
【とら巻】
「あたらしや」と同じく春野町の郷土菓子。作り方は、ザラ紙を敷いた鉄板でカステラ生地を焼いて虎柄の焼き目をつけたら、あんこを乗せてロールケーキのように巻くだけ。
【いもべらあずき】
いの町に伝わる郷土料理。長時間茹でたサツマイモを細長くカットして干したものを、いの町では「ゆでべら」や「煮べら」と呼ぶ。その「ゆでべら」と小豆を砂糖で甘く煮た料理。