今回の食材/イタドリ
(場所)県内全域(旬)4月中旬〜5月
山々に囲まれた高知県で、古くから親しまれてきた山菜のひとつ。痛み止めにもなることから「痛取り」、茎が杖になり虎のような斑点があるから「虎杖」といった呼ばれ方もされているという。
シンプルが一番
高知の家庭で楽しまれる懐かしい味わい
高知を代表する春の山菜のひとつ、「イタドリ」。生は酸味が強く、コリコリとした歯応えが特徴だが、酢物や和え物、煮物など、さまざまな家庭料理として親しまれている。
そんなイタドリを昔から「イタンポ」という愛称で呼んできた梼原(ゆすはら)町で、地元の方々が特に美味しいと勧めるのは、炒め物。茎のシャキシャキとした食感を残しつつ、油を加えることで腹持ちも良くなり、おかずや料理の添え物としても好まれている。二宮さんは、「まだお菓子が無かった当時、梼原では庭先や地元の山、川沿いなどで自生しているイタドリを採ってきては、皮を剥いて塩を付けて、おやつ代わりにかじりよったがよ」と話す。あまりにも身近な存在だったため、これまで注目されてこなかったイタドリだが、ポリフェノールが豊富で栄養価が高く、「世代を問わず愛される味」と、近年、梼原町の特産に。イタドリのお茶やお菓子といった加工品も開発されている。
イタドリのごま油炒め
▶︎用意するもの(1人前)
イタドリ・・・150g
ごま油・・・大さじ2
砂糖・・・・大さじ2
醤油・・・・大さじ2
昆布だし・・・・少々
いりごま・・・・適量
手順1/あらかじめ一晩塩抜きしておいたイタドリを、4cmほどに斜め切りする。
手順2/中火で熱したフライパンにごま油を適量加える。1のイタドリをフライパンへ移し、ごま油が全体に行き渡るように軽く炒める。
手順3/油が回ったイタドリに、砂糖、醤油、昆布だしを加え、混ぜ合わせながら炒める。
手順4/仕上げにもう一度ごま油を回しかける。いりごまを適量加えてさっと炒め、お皿に盛り付けたら完成!
ひとくちメモ
昔は茎の部分だけ食べられていましたが、栄養価が高い葉の部分を捨ててしまうのは惜しいということで、梼原町ではイタドリの葉を使った「イタンポ茶」や、乾燥させて粉末にした葉を麺に練り込んだ「イタンポうどん」としても美味しく食べられているんですよ。
まだまだある!
【ぜんまいの白和え】
春の山菜であるぜんまいは、この時期にたくさん収穫して、一年間保存して使えるようにすることがある。煮たり茹でたりが多いが、白和えにして皿鉢(さわち)にも入れられている。
【メヒカリの唐揚げ】
メヒカリとは、身は白身で淡白でありながら、程よい脂がありやわらかい小魚。素揚げや唐揚げにして、お好みでポン酢を付けたり、南蛮漬にするのもおすすめ。