Posted on 2014.06.24

アゲアゲ天国 Vol.7

港町のかき氷

観光客が波のように押し寄せる、
カツオ一本釣りの町、中土佐町久礼。
にぎわう市場を外れたら、
「氷」の暖簾がはためいている。

「古谷の氷、食べにいこ」。夕暮れ時、部活帰りの中学生が100円玉を握りしめてやってくる。かき氷機を動かすおばちゃんの横で「もっと、もっと。蜜もようけ※」と催促。おばちゃんはぎゅっと氷を押し、またその上に氷をかく。
 「朝6時頃から2時間。白の砂糖からコトコト煮いて、最後に水あめを入れるがやけど、この味になるまで何度も捨てた」。古谷末子さん(76)は、蜜はもちろん、あずきも豆から炊く。「これやないと柔らかい氷にならん」と、白鳥印のかき氷機は店と共に40年。
 ある日、野球部の中学生が氷を食べながらポツリと言った。「明日の試合、どうなるろう。負けるかも」。店の壁には中学野球の対戦表。おばちゃんはすかさず、「力を出してきい。勝ったら全員、ミルク、ただ!」。次の日、対戦表に赤丸がついた。「ミルクや、ミルクやー!」と喜び勇んでやってきた野球部員に、「みんな、えらかったねえ」とミルクをたっぷりかけてやる。
 「もう年やし、いつまで続けられるか」。おばちゃんはそうつぶやきながら、暖簾の向こうに懐かしい常連さんを見つけ「久しぶりやねえ、寄っていきい」と声をかけた。




ようけ=いっぱい


 

【お好み焼き古谷】
かき氷は200円から。あずき300円、 ミルク金時400円。
(中土佐町久礼中島6188)


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