Posted on 2013.09.24

アゲアゲ天国 Vol.4

手結餅(ていもち)

江戸時代、手結山にはお茶屋番所があり、
参勤交代のため峠を越える藩主たちが足を休めた。
道が舗装され、車で移動する今も、
手結を通ると、ニッキの味を思い出す。

 「次は〜、餅屋前」。下車ボタンを押してバスを降りると、少し先に古い日本家屋がある。引き戸を開けると、甘い香りが鼻に抜ける。
 使い込まれた杉の「ものぶた」に、小判型のお餅を並べる澤欽子さん(77)は、二十歳の時、芸西村から嫁いできた。「車のない時代、お町を出発したら、ちょうど昼ごろに手結に着いたそうです」。たまに古い客が訪ねてきて、お茶を飲みながら嫁ぐ前のことを教えてくれる。
 
 「餅屋は宿命。一子相伝の世界ですから」という長男の禎朗さん(51)は、七代目。製菓の専門学校を出て、25歳で家業に入った。「昔はうんと甘いのが喜ばれたけど、今は控えめ」。時代に合わせて、微妙に味を変える。かつて裏山にあったというニッキが、味の決め手。
 
 「代々受け継いできた味、守るだけやなくて、育てていかんとねぇ」。禎朗さんが声をかけると、欽子さんはえくぼをつくって笑う。まるでお餅のようだった。


※お町=高知市中心部のこと。

区切り線


澤禎朗さん、母の欽子さん、姉の和田恵子さん、甥の和田朋己さんと近所の人、総勢6人が手結餅を守る。

(有)澤餅茶屋 高知県香南市夜須町手結1468
TEL 0887-55-2948 定休日:火曜日‎

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