Posted on 2013.06.24

アゲアゲ天国 Vol.3

唐草模様のみかん水

それは、無色透明。
無加汁なのにみかんを語り、
風呂敷のような唐草をまとう、摩訶不思議なドリンク。

 みかん水──大正時代から、全国で製造、販売されていた飲料水。
 「みかん水は、うんと身近な飲み物やった」と語るのは吉村征捷(せいしょう)さん(69)。戦後、高知市内の醤油屋に働きに出ていた父が、地元の土佐市高岡に戻って商売をやりたいと、友人からみかん水のつくり方を習い吉村飲料工業所を立ち上げた。長男の征捷さんが手伝うようになり、機械を揃え、ミルクセーキやラムネなど、瓶入りの飲料水を数多く製造してきた。
 昭和60年代、大手飲料メーカーの自動販売機が普及し、ローカルな飲料水は姿を消しつつあった。「人がやらんことをしてみようと、みかん水に炭酸を入れたがよ」。吉村さんは思い切ってラベルを一新し、縁起がいいとされる蛸唐草を自ら描いた。「問屋から注文が相次いで、大阪の瓶屋さんには、いなかの県でこんなに売れる品物はないと驚かれた。あれは、よう売れた」と思い出し笑い。一時は年間80万本を製造し、東京や京都の店にも並んだ。
 現在も週に一度は機械を動かして、東は奈半利町、西は中土佐町久礼まで配達する。「今年は、昭和40年代にヒットしたクリームソーダをやっちゃおうと思うてね」と意欲的。
 他の炭酸飲料とは一線を画すみかん水。駄菓子屋の冷蔵庫で見かけたら、飲むしかないでしょ!


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