Posted on 2017.09.24

とさずしのだし

味の決め手は魚にあり!!

魚の姿ずし、巻きずし、押しずし……、高知に伝わるすしをとさずしと呼ぶ。
そのだしは、かつお節でもなく昆布でもない、酢にごし、酢ころしという、魚のだしなんです。

 


とさずしの基本
米1升  酢1合  塩30g  砂糖100〜200g  刻みショウガ  いりゴマ
酢は穀物酢にゆの酢など酢みかんの汁を混ぜて使う。そして、酢飯にうまみをつけるために「だし」を入れる。だしを効かせば昆布や薄焼き玉子で巻いた芯のないすしもごちそうとなる


急な来客があった時、「五目でもしますきに、ゆっくりして※つかさいませ」と言って、五目ずしを作ってもてなした。すしは準備がなくとも、にわかにできるごちそうだったのよ。


土佐弁講座 ※つかさい:下さい 

 


ゴマサバ マサバ

【だしの基本はサバ】
サバは土佐湾で年中豊富に獲れるゴマサバとマサバの2種類。

 

【県東部や山間部の一部】
酢にごし 米や酢に魚の風味をつけ、身は入れない。

 


① すし用の飯を炊く時に、米の上にサバの切り身を置いて炊く。


② 炊けたらサバを取り出し身をほぐす。
③ 酢を加えて少し置き、 サバの身を漉(こ)す。


④ 飯に混ぜる。

 

西【県西部や海岸部】
酢ころし 酢に魚の身をほぐして浸し、身を飯に混ぜ込む。

 


① サバの身を濡れた新聞紙で 包んで蒸し焼きにする。


② 身をほぐして、酢に浸す。


③ そのまま飯に混ぜ込む。

 


土佐人のサバ好き
昔からサバは日常食の代表。ぶつ切りにしたサバと季節の野菜を煮たお汁や、サバとニンニク葉、豆腐などを醤油と砂糖で煮込んだ煮食いなど。新鮮なサバを塩漬けにして山村へ運んだら、谷川の水で塩抜きしてサバずしに。昭和初期には「儲かりゃサバよ(さっぱり儲からないの意味)」という言い回しもあったほど。


サバは獲れだちの新鮮なうちに塩をする。魚が古くなってから塩をすると、塩の通りは早いけどパッサパサよ。
 


 

 


酢みかんが大活躍
醸造酢を一切使わず、ユズやブシュカン、直七など酢みかんの汁だけですしを作ることもできる。酸がきつい分、砂糖を多めに入れる。


新しい酢は魚を漬けるがに使うて、それを漉した酢は酢飯に使うたら※ぼっちり。魚を酢に浸すのは30分程度にするき、魚の表面には酢が効いて、身はまだ赤い。時間とともにアミノ酸に分解して、うまみのあるすしになるがよ。


 ※ぼっちり:ちょうどいい

 

❖❖❖❖❖❖ 地域に伝わる 「だし」いろいろ ❖❖❖❖❖❖
サバの酢にごし、 酢ころしの他にも、それぞれの地域にすしの「だし」があるんです。

ジャコ イリコやチリメンジャコを刻んで酢に浸して、飯に混ぜ込む。馬路村ではモミコミ、安芸市別役(べっちゃく)ではスジャコ(酢雑魚)と呼ばれた。

いり汁 ジャコがたくさんとれる地域では、ジャコを茹でたあとの「いり汁」が安く出回る。醤油に混ぜてだし醤油にしたり、すし酢に使うこともあった。

そぼろ ウルメ、アジ、カマス、ブリ、ハガツオなど様々な魚の身を焼いたり煮たり炒ったりして、酢飯に混ぜ込む。

メジカ 宗田節の材料となるメヂカ(ソウダガツオ)。水揚げの多い土佐清水市では、メヂカの茹で節を酢に浸した「酢ころし」を飯に混ぜ込む。


 

 


松

【魚は塩で身がすわる】
魚は生の新鮮なうちに、すっと捌いて塩をすること。魚のタンパク質と食塩が化学結合して、身がコリッコリになる。その現象を「すわり」と言うがよ。
【魚が酢をまろやかに】
魚を酢に浸すと、魚の無機質や水溶性タンパク質、いわゆるうまみが酢に落ちる。さらに酸のpHが上がり、酢がまろやかになり、酢飯や酢のものにちょうどいい塩梅(あんばい)になる。

松﨑淳子先生
大正15年生まれ。高知県立大学名誉教授。高知県の食文化の生き字引的な存在で、伝統食を守る活動を続けている。趣味は手作りのおすしをプレゼントすること。

 

  • share
  • tweet

Tag

トップページへ