Posted on 2017.03.24

伝説探訪 Vol.9

山の神


山を歩けば、〝不思議〟に当たる!? 県内各地の山に関わる人たちに聞くと、山の神様や妖怪にまつわる言い伝えやまじないが出てきました。

 

蛇は昔から水の神様と言われています。ヘビと出遭って指さすと神様を指さした事になり、手が腐ってしまうのを防ぐため指を切ったそうです。今でも、両手の親指と人差し指を輪っかにして年の数だけ切ります。 ◉ 梼原町 佐竹美佐さん

 

山で物を落とした時は、「山の神様、○○をお返しください」と念じながら小便をすると見つかります。 ◉ 香美市物部町 笹岡洋一さん

 

暦の上で大つちと小つちの日は、木を切ると虫が入ると言われているので、木を切らないようにしている。 ◉ 四万十町大正 林幸一さん

※大つち、小つちは1年に6〜7回、木を切ることを避けた方がいい期間とされ、それぞれ7日間、計14日間ある。

 

今日からこの山に入る」という時は、山の神様に酒とじゃこをお供えする。また、神様に関係する木は、絶対に切らない。
①ウネにあるカラカサは山の神様の遊び場。
②昔、水路があった所には「谷口にある青木」という水神様の木がある。
③種類の違う太った枝が絡みあっている木は神様が関わっている。
◉ 香美市香北町 森本幸男さん

※ウネにあるカラカサ:山の峰で傘を広げたような木

 

山に登る時は必ず食べ物を持って行きます。「ヒダルがつく」といって、狸に化かされて迷って帰れなくなるのを防ぐそうです。また、山で仕事してお昼を食べる時、一口二口ご飯を残して地面に置いておくと無事に下りて来れます。  ◉ 大川村 近藤京子さん

 

一人で山歩き中に声をかけられても、振り返ったり返事をしたりしたらいかん。それは「サトリ」の誘い声なので無視をしろ。  ◉ 室戸市佐喜浜 田村拓さん

※「ヒダル」や「サトリ」は妖怪のこと

 


とさぶし伝説探訪
高知県立歴史民俗資料館 梅野光興さん
香美市物部町に伝わる「いざなぎ流」の山の神祭文(さいもん)には、山の神の出生などが語られています。山の神は、日本の山を支配し、虫や獣を眷属(家来)に、木を「羽根休み木」にします。山の木を勝手に切った人間が病気になるのは山の神の怒りを買ったためです。祭りをすることで山の神が喜べば、山で木を切ったり、猟をしたり、山の恩恵にあずかることも可能になります。 私たちの先祖は、神や妖怪のような目に見えない存在を想定し、それらとうまくつきあうことが安心や幸せにつながると考えていました。特に山では、遭難や不意の事故など危険が多いので、山の神を怒らせず、妖怪にも出くわさないように、さまざまな言い伝えやおまじないが伝えられています。一見非合理的に見えますが、自然に対する人間の畏敬の念や豊かな想像力が息づく魅力的な世界でもあります。
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