Posted on 2013.01.24

ほろよい対談

有澤 浩輔×吉岡 綾子

文佳人のラベルデザインを担当する吉岡綾子さんをお迎えしました。
日が暮れ、駅前通りの酒蔵に灯がともる。
蔵の壁が特徴の「文蔵」は、有澤さんの弟が店主を務める居酒屋。
中に入ると土壁には稲穂が踊り、ブラウンでまとめたインテリアは大人の雰囲気。
1週間前に搾った文佳人の瓶の天地をゆっくり変え、こぶりなワイングラスに注ぐ。

おつかれさまでーす。乾杯! カチン。 


有澤 これが今年の初しぼりです。 

吉岡 すごい、いい香りですね。バランスがいい。
 
有澤 おりが多すぎるけど。

——クレモンティーヌが流れる



味を〝届ける〟デザイン

有澤 東京とか売りに行くと、あんまり恥ずかしいラベルとかないんですよ。
   うちなんか最初、カラープリントしてカッターで切って貼っていた。
   いかにも手づくりで少量感があっていいと思っていたんだけど……。
 
吉岡 有澤さんは、実直で、スタンダードなお酒の造り方をする。
   デザインも、「あたりまえ」を表現するのがむずかしかったですね。
 
有澤 日本酒って、どんなに奇抜なものを造ったとしても所詮お酒。
   デザインしすぎると、「中身は酒やろ」になってしまうんですよね。 

吉岡 よく、ジャケ買いして中身がっかり、とかありますよね。奇をてらうと、ずっこける。 


——セルジオ・メンデス&ブラジル'66が流れる 


吉岡 「インパクトを持たせてください」と、よく言われるけど、ここは、ほんとに商品にあっているのか冷静に考えないといけない場面ですよね。
   酒質を顔にした時に、お洋服を着た佇まいが有澤さん「らしい」かどうかが一番大事と思うんです。

有澤 あったね〜、生酒のラベルで「ここ、もっと大きくして〜」って、口出したこと。 

吉岡 その時は私も未熟でした。もともと私、「どうだ〜!」みたいなデザインってようせん。
   有澤さんの酒造りと同じでデザインもやりすぎないって大事。
   ずっと愛されるものであってもらいたいので、デザインも息の長いものでないと、というのがありますね。 



お酒のミキシング感 

吉岡 音楽感がお酒に出ちゅうなって思う時があって……。
 
有澤 お酒を搾るすぐ横の分析室では音楽をかけっ放し。移動する時もヘッドホンなんかせずに、
   音楽を鳴らしながらなんです。

吉岡 音楽が好きなの、共通してますね。有澤さんのお酒にはひそかにミキシング感を感じてるんです。
   音楽好きなら、わかるはず……。 

有澤 音楽は、ドリンク剤みたいなもんですかね。最近どんなの聴いてますか。 

吉岡 私は電子音楽かな。昔のロックもいいんですけど。
   私もテンションあげる時は、事務所でブンって音を上げてスイッチ入れてから、ってありますね。
   今日、ここに来る時は、ハラカミレイさんの、聴いてきました。 

有澤 知らない……。 

吉岡 すごくいいんですよ。今度、持ってきます。あと、クラフトワークとか、聴き直してます。

 

新しい時代のお酒

——さりげなく席を立ったと思ったら「リズール」の特別純米を手に持ってきた 

吉岡 これ、端正で、やさしくて、すっきりしてて、いいお酒だな。
   若い新しいファンが着いてるなと思います。やっぱりセンスがある。 

有澤 もっと持ち上げてください。ふだん誰もほめてくれないので……。(笑) 

吉岡 日本酒って、私たちの親の世代のイメージが強烈にあるけど、私たちの世代は明らかに違いますよね。
   有澤さんの造る新しい味の方向性が商品に出てきていると感じます。

有澤 すごくちっさい酒蔵なんだけど、だからといってあまりマニアックなものではなくて、
   ちゃんと造ったお酒を造りたいんです。
   今年は、お酒の鮮度を一層保って、フレッシュなお酒を出していきたいと思っています。

吉岡 帰ってこられた時にも「若い世代で継ぐがや」ってすごい感動したけど、
   仕事もジャンルも違う同い年の人が自分のお酒造りでがんばっちゅうというのは輝いて見えるし、鼓舞されますね。


リズール 本を読む人という意味。書斎で物思いに耽りながら飲んでもらえるようなお酒。ちょっとおしゃれな日本酒バーに置いてあってもOKなデザイン。


みかんリキュール 地場産品的なノリがあるので、すっきりまとめたら、臨場感がなくなってしまう。わざと太い字を使ってどんくさい感じを出した。



 


吉岡 綾子
デザイナー(ディー・ディー・オフィス)
背景の見える酒造りはお見事。
味わい方も変わるんですよね。


有澤 浩輔
株式会社アリサワ5代目
酒質を理想通りデザインしてくれて、
いつも頼りにしています。

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