Posted on 2013.01.24

生き物がたり

サケ科【天魚、雨子、甘子、雨魚】アマゴ(あめご)

四万十川の在来アマゴ(生後1年、体長約15cm)

 「なんと、きれいな!」——在来アマゴではないかと、地元の人や釣り人から聞いて探し回っていた四万十町の土居明さん(68)は、4年前の秋、四万十川支流の上流で初めて見つけた。捕獲したアマゴは放流ものとは大きく違っていた。
パーマークと呼ばれる、たて長で、大きくて、角が丸い斑紋が体の側面に5つ〜8つくらいある。肌が白く、きれいで、腹の部分はウロコが細かい。黒と朱の丸い点が腹から下にはほとんどない。腹ビレが黄色い。そして、とにかく見た目がとてもシンプルだった、と土居さん。
 アマゴは川の源流域に住む。産卵時期は11月頃。きれいな石に卵を産み付けるため川底を腹でかき回す。
この時、メスもオスも体を傷つけ、そこから水生菌が入ってほとんど翌年を迎えることはない。卵は、一度に500〜1000個ぐらい産まれる。孵化するまで1か月余。しばらく川床で過ごし、早春に餌を求めて泳ぎ出すのだと言う。
 かつて高知県の河川には在来アマゴがいたはずだが、他県と同様、今はほとんど放流ものになっている。生息環境が悪化する中で、四万十川支流で確認されたのは、「川の上流の至るところに造られた砂防堰堤が、放流アマゴや密放流イワナの拡大を防ぎ、皮肉にも残った」と町田吉彦高知大学名誉教授(65)は振り返る。
 在来アマゴを四万十川に返そうと、さんは長年やってきたアマゴ養殖の技術を応用しようと試みるが、アマゴは警戒心が強い。孵化しても餌を食べない。やっと放流用のアマゴと同居させると食べるようになったが、餌づけ後3か月ぐらいまでの間はなぜか死亡率が高く、半数くらいになってしまう。それでも昨秋、一気に2000匹ほどに増えた。いま、在来アマゴの復活を願う人々と協力し合い、すでに四つの川に放流し、果たして残ってくれるのか、実験中だ。
 土居さんの育てたアマゴが15匹、桂浜水族館で泳いでいる。
大町寿史飼育課長(35)は「アマゴを人間の行為で少なくしてしまった。たくさんの人に見て知ってもらい、高知にこんな素晴らしい自然がまだある、ということを伝えたい」と飼育に余念がない。


放流用の養殖アマゴ(長良川系)

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