Posted on 2013.01.24

暮らしのこだわり

ペレットストーブどこか森とつながっているような…言わば、「プチ自然派」。


木質ペレットは 間伐材を高密度に固めた バイオマスエネルギー。

 6年前にマイホームを建てる際、さまざまな「選択」を迫られました。そのひとつにエネルギーがありました。「徒然草」に「家の作りやうは、夏をむねとすべし」という段がありますが、この考えは高知の風土にも合っています。省エネで、さらに電気だけに頼らない暮らしをしたい。そこで大屋根や軒で夏の日差しを和らげ、1階のリビングを吹き抜けにして風が抜けるようにしました。リビングにはエアコンをつけない、という選択をしたのです。

 冬はしのげばいい。色々と調べて、たどり着いたのが、ペレットストーブでした。炎が見えると、心理的にも暖かくなります。感覚的な過ごしやすさに加え、発熱エネルギーはエアコンよりも大きく、灯油に比べて木質ペレットは安価、一番合理的だと判断しました。高知の森林を守る運動を応援したいので、ペレットを使うことでささやかな貢献ができたらとも考えました。

 本当は薪ストーブが欲しかったんです。でも、薪の入手と管理、煙突掃除のことを考えると、忙しい生活の中では無理があるかな……と。その点、わが家が購入したタイプは煙突もないし、ペレットも入手しやすい。

 朝起きたら、ストーブのスイッチを入れます。ほんのりと木の燃えるにおいが漂い、5分ほどで部屋が暖まってきます。溜まった灰の始末は、火を楽しむための大切な手間だと考えています。庭に播けば肥料になるのもいいところです。  新築を機に「テレビを置かない」という選択もしました。テレビに追われない自由な時間を持ちたいと思ったのですが、子どもは大泣きでした。「観たいものはDVDを借りて観ようね」と説得したように記憶しています。

 エアコンもテレビもないリビングは、わが家ではもう当たり前。ストーブ周りに家族が集まり、本を読んだり、子どもたちと遊んだり……気持ちに余裕ができたように思います。

 3年前に、子どもと巣箱をつくって庭に取り付けました。場所や高さを変えて試行錯誤していますが、まだ巣づくりには至っていません。今年こそは……と、楽しみにしています。


リビング天井のファンを回して 効率よく部屋を暖める。


30kgの米袋に詰められたペレット。 一冬で20〜30袋くらい使っている。


レコードに針を落として音楽を聴く。 音楽もストーブもアナログ感を楽しんでいる。


せん


福井 博史 さん(高知市)

福井博史さん インタビューこぼれ話


ストーブにあたりながら読みたい本は何ですか?

ストーブ → ペチカ → ロシア文学といった連想がはたらくと……
ストーブの温かみのまろやかさからすれば、なぜかチェーホフという感じです。
これまでいくつかの戯曲しか読んだことがないですが、小説も良いらしいのでいつかじっくり読んでみたいと思っています。


あと思いつくのは「枕草子」です。
「冬はつとめて」にはじまり、ほかにも冬の暮らしぶりを伝える印象的な記述がありますよね。雪の降り積もるような日に縁側に腰掛け、炭櫃に火を熾しただけで夜な夜な語り明かすといった風流の場面もあったりします。
そういうのに思いを馳せるのは雰囲気が合うかも。

時間の余裕があるときによく引っ張り出して読むのは長田弘さんの詩集やエッセイです。
これは夏冬問わないですが……。何冊も持っていますが、どれを読んでも心に深く落ちてきて、ぴたっときます。ストーブの連想でいくと、童話に材を取ったものですが、手押し車にいっぱいの日差しを家で待つひもじい子のために送り届けるというお話が大好きで、その詩が思い浮かびます。​

せん

豆知識


*そもそも「バイオマス」とは……

農作物、薪や木炭などの生き物に由来する物質の総称であり、その源は二酸化炭素と水から太陽光のエネルギーによって有機物を合成する植物である。植物に蓄えられた炭素は分解や燃焼によって大気中に二酸化炭素として放出される。しかし、再び光合成によって植物に取り込まれるので再生され循環している。このことをカーボンニュートラルという。バイオマスの利用はエネルギー利用にとどまらず、材料としての資源を有効に活用することも重要である。

*「木質バイオマス」としては、「チップ」と「ペレット」がある

木質バイオマスをエネルギー利用するために木材を細かく切断したチップ、叩いて削り取ってほぐしたチップ、製材工場などの木粉を100〜150℃に熱をかけて圧縮し、融解したリグニン成分の接着作用によって円筒形に固めて整形したペレットなどに加工される。


両者では輸送効率が異なり、ペレットがより有利である。また、燃焼装置も住宅用にも使える規模のストーブが市販されており、灯油の代替として普及が期待されている。(中略)輸送効率から考えると、木質バイオマスの供給源近くではチップでも経済的な利用が可能であろう。一方、供給源から離れた都市ではペレットの利用が期待できる。


「森ことはじめ——森林科学入門」 (高知大学農学部森林研究グループ編・2006年)より

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