Posted on 2017.02.10

イベントレポート

鉄道がつなぐ人と地域

鉄道を特集した「とさぶし17号」の発刊を記念しておこなわれた、トークセッション。ご参加できなかった方にも、この日の様子をお裾分けします!

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2017年1月7日(土)、とさぶし17号鉄道特集を記念したトークセッションを開催しました。3人のゲストのスピーチと、参加いただいた方々とのやりとり、新しい鉄道イベントへのリクエストも飛び出しました。


2016年12月24日発行のとさぶし17号では、待望の鉄道を特集しました。古くは毛細血管のように山の奥地までつながっていた森林鉄道。物資や人を運ぶ足として、文化を運ぶ道として渇望されていた鉄道ですが、高知県西部の宿毛市につながったのはわずか20年前。時代は車社会になり、かつては希望の星だった鉄道がお荷物となっているかもしれません。
そこで、とさぶし17号では、駅を降りて地域を歩く楽しみ方や、列車ならではの楽しみとしてお酒を飲みながら乗る列車の旅など、誌面で紹介してきました。


とさぶし17号

aki

今回はとさぶし17号で取り上げた「鉄道」をテーマに語り合うトークセッションを企画しました。最初にとさぶしの編集委員・アドバイザーの川西康之さん、指出一正さん、土佐くろしお鉄道の北川さんからショートスピーチをいただき、会場のみなさんと高知の鉄道について語り合い、また、4月に開催する「とさぶし列車」のアイデアも募集したいと思います。


session 1 川西康之さん

トップバッターは、2010年に中村駅のリノベーションを手がけた、株式会社イチバンセン/next stations代表の川西康之さんです。


川西康之さん

<profile> 建築家 株式会社イチバンセン代表 千葉大学工学部非常勤講師 1976年、奈良県生まれ。2005年から土佐くろしお鉄道 株式会社ウェブサイト運営管理を行い、2010年に行っ た土佐くろしお鉄道中村駅リノベーションではグッドデ ザイン特別賞など数々の賞を受賞。2016年には新潟県 のえちごトキめき鉄道の観光列車「えちごトキめきリゾー ト 雪月花」をプロデュース、デザインし注目を浴びている。

aki

「デザイナーは未来のお客さまの代弁者。その場にしかない価値を作りたい」と思いをぶつけたところ、土佐くろしお鉄道の部長は「おまんに任すき、好きにやっていい。責任はわしが全部持つ」。思い切ってチャレンジすることができました。

かつての中村駅は、ホームが2本しかない典型的な国鉄の駅でした。自販機やクーラーの室外機が並び、待合室はたまり場。それでいて1日に特急が9往復し、時刻表や運賃表やら情報が多い。列車の発車10分前から改札をやるので、お客さんを外で待たせていた。
まずはそれを整理しよう、とスタートしました。


かつての中村駅(スライドより)


かつての中村駅(スライドより)

待ち時間の向上
地元産のヒノキはうっすらピンク色で、人の肌をきれいに見せる。これをふんだんに使い、待っている人を美人に見せる。これはフランスのガラス張りの電車をヒントにした。
自家用車はいわば個室のプライベート空間。人から見られる場所ではない。都会に緊張感があるのは、やっぱり公共の場所を移動しているから。


新しい中村駅(スライドより)


新しい中村駅の待合室(スライドより)

多目的は無目的
公共の空間は皆のもの、これは嘘でメインは誰かに決めなければならない。そこで、中村駅を自習室にしてしまえ、と。中村駅は高校生を主役にすると決め、待合室に勉強できるヒノキの机とイスを置いた。彼らは県外に進学しても「高校3年間、ヒノキの机で勉強した」と自慢できる。都会は底辺のマナーに合わせないといけないけど、中村駅なら高いところに合わせられる。地元の人ならこれが上質であるとわかるし、だから、落書きなんてしない。


中村駅で勉強をする学生(スライドより)


中村駅で勉強をする学生(スライドより)

改札をやめる
駅全体を公園みたいにしようと。今では駅で結婚式も行われている。お金などの問題ではなく高知でもそんなことができるんだというのを分かってもらえたことが一番嬉しい。


改札がなくなった中村駅(スライドより)


中村駅のホーム(スライドより)

中村駅のリノベーションは限られた予算の中で、設計だけでなく自分たちで施工もおこない完成させました。その結果、国内外で13もの賞を受賞し、2014年には鉄道関連では唯一となる国際デザインコンペティションであるブルネイ賞を受賞しました。(同年の受賞には「ななつ星in九州」もある)

地方は鉄道を利用するお客さんが少ないので本数を減らしたり運賃を値上げしたりしようとする。「中村駅をきれいにして、それでお客さんが増えたのか?」と質問されたことがある。売り上げは2倍や3倍になるわけではない、デザインは意味がないのでは?とも。
でも、お客さんに新しい体験をしてもらえることは間違いない。


授賞式の様子(スライドより)

川西さんは、昨年、新潟の観光列車「雪月花」を手がけ、世界各国のメディアで取り上げられ、ています。静岡や奈良の駅のプロジェクトもはじまり、これからの活躍が楽しみです。


新潟を走る雪月花(スライドより)


雪月花の客室(スライドより)


各国のメディアで紹介(スライドより)

あき

session 2 指出一正さん

続いて、ソトコト編集長の指出一正さんは、全国各地を取材やトークイベントに回る中で、廃線になった地域や見向きもされていない場所で地域を面白くしようとしている人を紹介いただきました。

あき


指出一正さん

<profile> 月刊「ソトコト」編集長 「ソトコト」「翼の王国」を編集するトド・プレス取締役 1969年群馬県生まれ。上智大学法学部国際関係法学科 卒業。 雑誌『Outdoor』編集部、『Rod and Reel』編集長を経て、 現『ソトコト』編集長。2016年12月、ソトコトでの取材で 出会った「ローカルヒーロー」の活躍をまとめた『ぼくらは 地方で幸せを見つける』を上梓した。

あき

「ケルナー広場」が、高崎市にできた!(上信電鉄)
高崎市には上信電鉄が作った「カッパピア」という遊園地があったけど、東京まで50分で行けるようになり、ディズニーランドに負け、廃園に。その後は不良の巣窟になり廃墟になりました。つぶそうとしていたところへ、東ドイツのデザイナー、ケルナーさんがたまたま来て待ったをかけた。
滑り台には階段がなく、子どもたちは仕方がないから一生懸命よじ登ります。「怪我をしないで育った子どもなんてもっと大きな怪我する」と考えに基づき、自分がどれくらい運動ができるのか、どこから落ちたら危険なのか早いうちに気が付いた方がいい、ケルナー広場はそんなコンセプトです。お母さんたちが広めてくれて4月にオープンして29700人が訪れました。


ケルナー広場(スライドより)


ケルナー広場で遊ぶ子どもたち(スライドより)

「パーリー建築」で、毎日がパーティ!(ほくほく線)
新潟県十日町市の美佐島駅は、1日乗降者数が10人くらい。急行が通る時の金属音を聞きにマニアが訪れる駅だったけど、その急行が役目を終えその人たちも来なくなりました。ここから歩いて10分のところに、奇跡の古民家があります。彼らはパーリー建築と名乗っていて、毎晩パーティーをしながらリノベーションをしてる。代表的なのがこの田んぼの学校。この地域の若い農家の集団に声をかけられて農業や地域で学べることの面白さを学べる場所を田んぼに作った。年間で5000人ほど遊びに来るようになっった。今では若い女の子が歩いていると、通りがかった人が「あの家に行くんだろ、送ってくよ」って軽トラにのせてくんです。こうやってコミニケーションがうまれています。


パーリー建築を紹介したソトコト(スライドより)


パーリー建築を紹介したソトコト(スライドより)

人が減っていく中で、地域のためにどうしたらいいかがこの事例に集約されています。その1つに、関係人口を増やすことが大事だと考えています。
例えば、観光案内所ってあるじゃないですか、みなさん使いますか?
スマホでいいじゃないですか。それよりは関係案内所を作らないといけない。一過性の観光客にやきもきするなら、仲間だと思ってくれたり10年も20年も足を運んでくれる人を増やしたほうがいい。
人との関係を案内してくれる場所、それが各地にできたらいいなあと思います。


観光案内所から、関係案内所。新しい発想ですね。
この2016年末に上梓された著書『ぼくらは地方で幸せをみつける』にも詳しく紹介されています。ぜひ手に取って読んでみてください。

あき

session 3 北川典生さん

ショートスピーチの最後は、土佐くろしお鉄道の北川典生さんから、くろ鉄の挑戦を紹介してもらいました。土佐くろしお鉄道では、年間30件ほど独自の取り組みをおこない、8500人の方が参加しています。


北川典生さん

100円の日
毎月第2日曜日に窪川から宿毛までの普通列車を1回100円で利用できるという企画です。平日は学生さんの通学での利用がありますが、土日はお客さんが少ないのが現状です。鉄道に興味がない人も「まず乗ってもらおう!」ということでこの値段で始めました。一番多い日はいつもの4倍の1200人の方にのっていただきました。
ブライダルトレイン
四万十川の橋の上に列車を止めて、そこで結婚式をしましょうという企画です。今後も続けて行きたいです。途中の駅にも全く関係のない人が応援に来てくれたり祝福してくれたりと、盛り上がりました。


土佐くろしお鉄道の挑戦(スライドより)


土佐くろしお鉄道の挑戦(スライドより)

他にも、矢野絢子さんをお招きして中村駅の4番線に止めた列車をライブハウスにした「ポッポライブ」、地元の高校生に列車をハロウィン仕様にしてもらい、宿毛駅でイベントを開催しました「ハロウィン列車」、列車の中をクラブハウスにした「アリエルトレイン」では列車内にDJブースも作りライブ列車のような感じで、昼の部と夜の部で中村宿毛間を走らせました。


土佐くろしお鉄道の挑戦(スライドより)

高知のローカル鉄道、くろ鉄。これからもユニークな活動に期待です!


このあと、会場に集まってくださった方からコメントをいただき、来春運行する「とさぶし列車」への期待もたくさん寄せていただきました!

・奈半利で海からのぼる日の出を見て、宿毛で海に沈む日の入りを見る!その間で、いろんな高知を楽しむ。カツオを食べたい。
・落語、芝居(地元の劇団による)。
・富山市の路面電車の様に、家族に対しお花を買って乗車すると割引、または無料etc.(母の日、父の日などの記念日に)
・沿線の写真館にする。おみやげでフォトアルバム。
・卒業式列車、同窓会列車。沈下橋からダイブ&天然ウナギ列車。
・おすすめ撮影ポイントでの停車もしくはスピードダウン。
・オープンデッキ車両2両を中村・宿毛線で走らせてほしい。
・酒、食、ヒト、アーティスト……、各自治体をテーマとした列車を運行しては?

たくさんのアイデア、ありがとうございました! 全部実現したいですね~。四万十川の上で窓から釣り……できるものならやってみたい!

さて、1日限りの「とさぶし列車」は、2017年4月8日、窪川~宿毛間を運行します。

チケット発売は、来週2月13日(月)正午頃からを予定しています。
(詳細は↓の画像をクリック。別ページが立ち上がります!)


先着順ですので、お早めにお申し込みくださいね!

Posted on 2017.02.10

writer:宮脇綾子

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